ベストセラー bestseller 2004 9 5
本をベストセラーにするには、中学生レベルで書くこと。
これが、今の基本法則です。
なぜか。
それを説明しましょう。
ここに、有名な文学作品を紹介します。
「智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生れて、画が出来る。」
(夏目漱石 「草枕」から)
この本は、私が高校2年生の時、夏休みの宿題だったのです。
暑い中で、大汗をかきながら、読んだ記憶があります。
今、この本は、売れていないでしょう。
書店に行ったら、この本は、小さな書店にはなく、
大きな書店でも、奥の方に、さびしく、目立たない場所においてありました。
日本を代表する作家で、しかも、代表的な作品が、
この有様では、日本は、とても文化国家とは言えません。
今、日本では、文学は死亡していると思います。
文学を書く作家は生きていると思いますが、
文学を読む読者は死んでいると思います。
いや、作家も怪しいのです。
売れる本にしたいから、
中学生レベルで、本を書いている感じがします。
これで、いいのでしょうか。
確かに、日本は技術立国です。
しかし、それでも文学は必要です。
いつの日か、本当の文学作品がベストセラーになる日が来ることを祈っています。
何世代にも渡って読み継がれるような文学作品が出てくることを祈ります。